今回の【不妊治療体験談】では、ごへいさんにお話を伺いました。
ごへいさん夫婦はともに20代後半で、3度のAIH(人工授精)を経て、ICSI(顕微授精)4回目の移植で陽性となりました。
どのような治療経過だったのか、お話を聞いてきましたのでご覧下さい。
妊活の開始とステップアップまでの道のり

ごへいさん、今日はお忙しい中ありがとうございます。よろしくお願いします。

よろしくお願いします。

まずは、ICSI(顕微授精)4回目の移植で陽性とTwitterのプロフィール欄に書かれていらっしゃいますが、そこに至るまでのステップアップの段階はどのようなものだったのでしょうか。

まずは25歳のとき自己タイミングで妊活を開始しました。私の場合は基礎体温が綺麗な二層になっていましたし、過去に生理不順も一切なかったので、特に心配はしていなかったんです。

そこから、どのくらいの期間でクリニックを受診しようと思ったのですか?

妊活開始から半年経っても妊娠できなかったため不安に思い、1箇所目のクリニック(高度不妊治療も出産もできる産婦人科)を受診しました。

なるほど、ありがとうございます。25歳で妊活をスタートして半年後にはクリニック・・・という流れは、かなり早いですね。クリニックではすぐに治療を開始したのでしょうか?

いえ、クリニックの先生からは、「検査にもお金がかかるのだから、しなくていい検査にお金を使わず、自然に任せよう。」と言われました。

え~っ!せっかく行ったのに検査もしてもらえなかったんですか!?

そうですね。「まだ若いんだから、1年や2年子どもができなくて、それからでもまだ十分若いよ。その間にできるかもしれないよ。」という内容のことを言われ、先生を信じ自己タイミングを続けることになりました。

でも残念ながら結果には結びつかなかったわけですよね?

そうなんです。それから半年、自己タイミングを継続しつつ、フライング検査をし続けるも着床した気配すらなくて、やはりおかしいということで、別の不妊治療専門CL(クリニック)を受診することになりました。

そちらのクリニックでは、どのような方針だったのですか?

そちらの先生からは、「基礎体温表を見る限り『排卵していそうだ』ということ」、「タイミングも間違っていないだろうということ」、「25歳という若さなのに妊娠しないこと」、この3点から、確かに気になると言われました。

一通り検査をすることにして、その検査が終わるまではタイミング法を続けましょうということになり、2箇所目の不妊CL(クリニック)通いが始まりました。

検査を受けつつタイミング4周期、その後AIH(人工授精)3周期、ICSI(顕微授精)4周期、不妊CLへは計11周期通って、無事陽性判定をいただき、今に至ります。
不妊の原因や採卵・不育症について

治療をする中で原因は特定されていたのでしょうか。

ただ、AIH(人工授精)の際に夫の精液検査も行ったのですが、SMIが大体50〜60、よくて80という数値であったため、私達夫婦は男性不妊であったと考えています。

Twitterでは「不育症」についても書かれていますが、これはいつごろ判明したのですか?

不育症は、先生からはっきりと「不育症だ」と言われたわけではないのです。ただ、以前に保険適用外の不育症検査を行ったことがあって、そのとき2つの項目で異常値が出たことから、そのように記載しています。

不育症の検査って、どんなことをするのですか? また、異常値が出てしまった2つの項目とは何だったのでしょう?

不育症検査は血液検査です。血液をサラサラにするための項目2つで異常値が出ました。

血行が大切なのは不妊治療されている方にとって当然かと思いますが、血栓ができやすく流産につながりやすいということだと捉えています。

治療の際、「準自然周期だった」と書かれていますが、それはなぜですか?一般的には「アンタゴニスト法」などの刺激周期が多いと思います。クリニックの方針でしょうか?

クリニックの方針です。なるべく女性の体に負担がかからないように、PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)になってしまう可能性がなるべく少ないように、ということだったと思います。

3回採卵されているようですが、Twitterには「採卵数が少ない」と書かれていますね。具体的には何個採れたのでしょうか。

1回目が2個、2回目が4個、3回目が3個です。

でも受精卵の状態は良かったようですね。グレードを教えていただいてもよろしいですか?

幸い、すべての卵で授精できました。グレードについても、ほぼ全て最高クラス、教科書のように綺麗な受精卵と説明を受けています。

すっ、すごい・・・。妊活中の身としては非常にうらやましいです。移植方法はどうでしたか?

ICSI(顕微授精)4回目と書いていますが、移植は新鮮胚移植が3回と凍結胚移植が1回です。
培養中の胚盤胞が全滅│ステップアップのことなど

AIH(人工授精)から、いきなりICSI(顕微授精)にステップアップされたようですが、その前にIVF(体外受精)はしなかったのですか?

私が通っていたクリニックは、移植当日の精液検査の結果を元に、先生が「体外受精」か「顕微授精」かという判断をします。

え~!当日に決めるんですね。

移植後のリセットが続く中で「条件が全て同じなのに移植を何回もやって意味あるの?」と書かれていましたが、クリニックや先生に対して不信感は生まれませんでしたか?

私の住む県下では不妊治療で有名なクリニックで、実績も十分なところでしたが、3回目の採卵(4回目の移植)の時に、「胚盤胞にすべく培養していた卵が全滅した」と聞いた時、正直このまま治療を続けても意味がないのでは?と不安になりました。

そこで、大学病院に転院することを考えていたのですが、その矢先に陽性判定となりました。

卵のグレードが良かっただけに、培養中の卵が全滅というのはショックが大きいし、不信感にもつながりますよね。

ちなみに、なかなか胚盤胞にならなかった障壁をクリアして、今回以外にも陽性が出たことは何度かあったのでしょうか?

胚盤胞にすべく培養した受精卵は、1つも胚盤胞になったことはありません。また、自己タイミングから含めて、今回以外に陽性判定が出たこともありません。

それは意外でした。卵のグレードが良いということだったので過去にも陽性のご経験があったのかと思いましたが、そういうわけではないのですね。

まだ20代なのに、毎回こんなに綺麗な受精卵が着床すらしない。着床障害を疑っていると先生に伝えたところ、不育症検査を受けることになり、結果として不育症検査で異常値が2項目出たという流れです。

素人考えですが、ごへいさんのように患者側から提案しないと検査が実施されないというのは疑問ですね。専門医なら、そのような可能性も念頭において積極的に検査を推奨し疑わしい項目を潰していってほしいものです。
旦那さんの男性不妊と、不妊治療への協力姿勢について

旦那さんのことについても教えてください。旦那さんは不妊治療に対して協力的でしたか?

前述の通り、AIH(人工授精)の際の精液検査の結果が悪く、お互いに男性不妊と考えていました。それもあるかもしれませんが、旦那は「協力的」というよりも、完全に「当事者」として一緒に治療を進めていく感覚でいてくれました。

それはすごいですね!Twitterでは、治療に対して理解が乏しかったり、協力的でない男性に対する女性たちの嘆きがあふれていますからね。

治療において身体的、時間的な負担はどうしても私に偏りがちですが、診察予定や、服薬する薬の使い方、頻度などを共有し、薬の飲み忘れがないよう管理してくれていましたし、積極的に診察に同行していました。

お手本のようですね。(笑)ごへいさんの旦那さんにもTwitteで妊活アカウントを開設して、情報発信をしてほしいくらいです。
不妊治療の費用について教えて!

直球な質問で申し訳ありません! ICSI(顕微授精)を4回もやるって、相当お金がかかると思うのですが、実際どのくらいかかるのですか?

過去のツイートでも少し公開していたので、はっきり金額を言っちゃいますが、不妊治療に支払った金額は今年1月〜7月で255万円。そのうち90万円は助成金をいただきました。

ひぃ~!うちの夫婦は無理です。そんなに貯金ないなぁ・・・・・

プライベートに突っ込んだ質問で申し訳ないですが、どうして4回もできるほど金銭的な余裕があったのですか?(世帯年収が高い?両親の援助がある?など)

助成金をいただけるということは、前年度所得がそれほど高くありません。おそらく同年代の一般的な年収と思われます。ただし正社員共働きです。親からの援助もありません。

じゃあ、節約や貯金が上手で、貯めてらっしゃったお金でしょうか?

毎月5万、ボーナス(ほぼ全て貯金)で50万×2の計160万を貯金していましたので、治療費255万-助成金90万=165万で1年分の貯金を全て吐き出した形です。

素晴らしい。年間160万円貯金できるって優秀だと思います。(汗)
不妊治療で、どうすれば妊娠できるのか

Twitterでは「陽性が出た周期も特別なことはしていない」と書かれていましたが、私も含め妊活アカウントの皆さんが気になるのは、「じゃあ何で妊娠できたの???」というところだと思います。

陽性が出た周期は、体のコンディションとか、いつもと違うことは何もなかったでしょうか?些細なことでもいいのですが・・・

正直全くわかりません。普段と違うことといえば、教科書レベルに質が良かったはずの受精卵の培養がうまくいかず「全てダメになった」と言われたので、完全にその周期を諦めて、全く期待をしていなかったことくらいです。

先生からは妊娠継続できた原因分析の説明などはなかったでしょうか。

先生からは、それまでも「若いし、受精卵も綺麗だから、必ず成果は出る。信じて頑張ろう。」と言われていただけで、「そもそも1回の移植で必ず妊娠できるわけではない。確率の問題だよ。」といった感じでしたので、今回の陽性も特に何かが違ったわけではないのだと思います。

「どうせ今回もだめなんだから、ホルモン補充すらめんどくさいな」と思っていたくらいで、初めてフライング検査もしませんでしたので、陽性と言われたとき、耳を疑いました。

なるほど。「妊活をあきらめたときに授かる」という話をよく耳にする界隈ではありますが、それに近い形ですよね・・・

顕微授精をしても3回連続でかすりもしなかった時には、そんな風には思えず、原因を探したくなっていましたが、本当に確率の問題だったのだなと今では思います。

ちなみに・・・先ほど、「新鮮胚移植が3回と、凍結胚移植が1回」というお話がありましたが、今回の陽性周期はどちらだったのでしょうか?「凍結胚移植」に変更したら陽性が出たとか?

今回の陽性が出たのは、「新鮮胚移植」でした。

そうなんですね。「ホルモン補充」をした方が妊娠確立が高くなるなどの理由から「凍結胚移植」が推奨されているように記憶していますが、今回は「新鮮胚移植」だったと。

ちなみに、「培養中の受精卵が全滅した」、「これまで1つも胚盤胞になったことはありません」ともおっしゃってましたが、今回は胚盤胞移植ではなかったのですか?

そうですね。「初期胚移植」でした。胚盤胞まで育った受精卵は過去一つもありません。過去に一度だけした「凍結胚移植」のときも、初期胚を凍結したものでした。

なるほど~。これを読んでいる方の中には、「卵ちゃんが胚盤胞まで育ってくれない!」という悩みを持っている人もいるかもしれませんが、「初期胚」でも成功は可能なんだという意味では、希望の光が持てるお話だと思います。

この度は、お忙しい中、ありがとうございました。お金の話なども突っ込んでお聞きし失礼しました。

いえいえ、少しでもお役に立てれば嬉しいです。こちらこそ、ありがとうございました。
コメント